
【そんな僕等の恋愛順序3】
正直に言うと僕は後悔していた。
あの外人は容赦がなく…腰の痛みがなかなか取れなかったのだ
それにあの日以来、彼は僕の前に姿を現さない。
いつもそうだ。わかっていた事とは言え何故か無性にイラついた。
僕を伺うような草壁の声もまともに届かないまま、いつものように正門に立ち風紀の仕事を全うする。
びくびくとしながら僕の目の前を通る草食動物達。
誰かを咬み殺す理由が欲しかった。
そうすればこのイライラも収まるだろうと思ってたからだ。
決まった時間に奏でられるチャイムに思わず笑みが零れる。
閉じられていく正門の前で僕は獲物をただ待つのみに時間を費やす。
誰でもいいよ…
このイライラを解消できるなら…
そう思っていた矢先にこちらに向かって走ってくる人影に僕の心は高鳴った。
「ぅげ!ヒバリ!?」
「…遅刻だよ。僕が自らの手で狩ってあげるから覚悟して貰おうかな?」
彼はいつも赤ん坊と一緒にいる沢田綱吉の友人。
絶好の獲物だった。
野球部の彼が遅刻するなんて珍しいことだとは思ったけれど今はそんなことどうでもいい
僕は隠し持っていたトンファーを取り出して構えるとじりじりと彼に向かって近づいて行く。
「ちょっ!ギリセーフだろ?なっ?」
「関係ないね…僕が決めたんだ。君はもう遅刻だよ」
「相変わらず容赦ねーのな…おまえ」
容赦する必要なんて何処にあると思っているの?
どいつもこいつも僕をイライラさせるだけで、本当に気に入らない。
片っ端から咬み殺せていけたらどんなに楽になれるのだろうか…
僕はにやりと笑みを作る。
そしていつものようにトンファーを目の前の獲物となった彼へと攻撃を繰り出そうとするが
彼が避ける寸前でぴたりとその動きを止めた。
「僕とセックスしなよ…そうしたら見逃してあげる」
彼にしか聞こえない声で小さく囁き掛ける。
驚いたような表情を浮かべるその姿はまるであの時の彼と同じで少しイラっとした。
「ヒバリ…何言って…」
「返事はYesかNoしか聞いてないんだけど」
「………」
「Yes…?No…?」
少し間を置く。
あの外人に比べて彼は慎重に悩んでいるようだ。
そう…二人の違いは簡単。僕に好意を持っているかどうかとうことだろう…
友愛…恋愛…それらは全く違った二つの感情。
彼に前者が当てはまるかもどうか怪しいものだ。
そう…僕達はただの顔馴染み…それ以上でなければそれ以下でもない。
鳴り響くチャイムの音だけが静かに時を刻みつけ…やっと決心したように彼は頷く
「…………Yes」
ただ一言それは告げられた。
「そう…」
僕も頷くと彼の手を取って適当な理由を草壁に告げて二人応接室へと向かう。
あそこなら絶対に邪魔の入らない都合のいい場所。
カチャリ…と鍵を掛けてしまえば誰も入ってくることのない空間は本当に使える。
けれどもなかなか手を出して来る様子のない素振りはさらに僕をイラつかせた。
「ねぇ、返事した以上はやることあるんじゃない?」
その言葉の意味を理解していないのか…それとも思考がついていっていないのか…
彼はただその場に呆然と立ち尽くすだけだ。
仕方なく僕は彼の胸倉を掴んで無理矢理キスをする。
あの外人に教わった濃厚なものをプレゼントしてやった。
何度も角度を変えて合わさる唇にねっとりと絡み合う舌の感触は、あの時と同じようにぞくぞくと僕を煽り立てて行く。
同じ場所であの時の感覚がフラッシュバックする。
ただ…違うのは目の前の人物だけ…
「…ヒバリ」
名前を呼ぶ声も違う。
頬へと触れた手の感触も違う。
キスでスイッチが入ったのかその行為は着々と進んで行く。
はだけた胸元に彼が残した印はなく、何事もなかったかのように新しい痕が転々と刻まれ
隙間を縫ってその手は僕の躰を撫で回す。
けれども何かが違う。
触れられた部分が熱を帯びていくのもわかるが快楽を全く感じない。
前回のような痺れるような感覚がないのだ。
気持ち悪くはないが気持ちよくもない…
物足りない…
これがセックス…?
冗談でしょう…?
こんなのただのじゃれ合いではないか
「……もういいよ」
僕はその行為に終止の声を掛けた。
「えっ…?」
「君、もしかして下手?全然ダメだね」
覆い被さったその相手の躰を押し退けて乱れた着衣を戻して行く。
アテが外れた…まるでそんな気分だった。
「おっ…おい!この後どうすんだよ!」
「僕には関係ないね。自分で慰めてあげなよ」
抗議の声を漏らす野球馬鹿を放って僕は応接室を後にした。
ねぇ…これってどういうこと?
『リボーン』よりディノヒバ前提山ヒバ…のつもり